熱でくたばっていた深夜2時――――――――
私はホテルのベッドにうつ伏せで眠っていたのだが、突然体が苦しくなる感覚に襲われた。
( 熱が上がって来て、それ故に体がダルくて苦しいのだろうか‥‥ )とも思ったが、違う。
これは熱で熱の苦しさじゃない!!!
体に何かに押し潰されるような苦しさだ。凄く嫌な予感がしたが、それは的中した。
「 私の上で何やっんの? 」と、背後のハビブルに私が冷たく問い掛けると彼は声を震わせながら
ボソっとこう答えたのだ。
「 ナ ギ の 熱 は ま だ あ る の か な ? と 思 っ て‥‥
だ か ら 、 ど こ が ど の く ら い 熱 い の か 全 身 で 熱 を 測 っ て い た ん だ ‥‥ 」
コイツは何を言っているのだろうか。
人が熱で苦しんでいるのに全体重を掛けて熱を全身で測るバカが何処にいますか。
しかも、深夜にフロントで合鍵を借りて勝手に入り込んでくるなんてホンットに最低です。
人がこんなにも呆れて冷たい顔をしているというのに、一向に私の上から退く気配のないハビブルに
私は「 奥さんに言うよ!?早く出て行け! 」と怒鳴った。
すると、彼はスッと起き上がって、俯きながら大人しく部屋を出て行ったのだ。振り返ることもせず。
( な ん て 素 直 な 潔 い 男 な ん だ 、コ イ ツ は !! )
翌朝、ハビブルは何事も無かったかのように私に接してきた。
が‥‥奥さんの目を盗んでは、やたら触ろうとしてきたりと、すこぶる気持ち悪かった。
出来ることなら奥さんにチクってしまいたかったが、奥さんは英語が全く分からない。
ましてや、そこでハビブルが変な言い訳とか嘘を言って逃れようとしたら逆に私が奥さんから
「 人の旦那にチョッカイ出しやがって! 」なんて文句付けられる可能性もある。
女 を 敵 に 回 す と 碌 な こ と が な い か ら な ッ ! ! ! !
だから、私は言いたくても言うことが出来なかった。
とは言え‥‥正直このままではストレスで私が可笑しくなってしまう。
警察官のハビブルが居ることでメリットもある( 許可証が要らないとかね )
けど、そのメリットを失ってでも私はハビブルと離れたかった。それくらい気持ち悪かった。
私は首都に戻ってから「 もうココからは自分で旅を続けます 」と伝えた。
するとハビブルは「 今日はもう遅いから明日の朝にしなさい。もしかして、僕のせいかな。
僕が怒らせちゃったかな‥‥もし、そうなら本当にごめんなさい 」と言ってきた。
1度謝られたくらいじゃ許せないくらい私は彼のことが嫌いになっていたが、ハビブルなりに
私に不愉快な思いをさせたということを認識してくれたんだなと思うと少しホッとした。
そして、ハビブルの家で眠りについた最後の夜――――――――
私はハビブルに襲われるという最悪の夢で深夜0時に飛び起きてしまった。
バクバクに上がる心拍数。
部屋を見回してもハビブルが居ないことにどれだけ安心したことか。
( 夢で本当に良かった‥‥ )
そう思いながら再度、私は眠りにつこうと横になり、目を瞑った。
目を瞑って2~3分後だっただろうか。
ベッドに何かの負荷が掛かり、ギシっと沈む音と同時に私の背後に何かがピタリとくっついた。
「 ア゙――――――――――――――――――――――――!!! 」
私は恐怖のあまり叫びながら足をばたつかせて、その背後のモノを蹴り飛ばしてしまった。
恐る恐る私が振り返ると、そこにはハビブルが居た。
そして、ハビブルは私と目が合うなり俯きながら大人しく黙って奥さんの部屋へと戻っていった。
怒られて潔く出て行く割に、何度も懲りずに試してみようとするハビブル。
そのしつこさは最後の最後まで健在していた。
その翌日から私はハビブルと離れてバングラデシュを回ったのだが‥‥
ハビブルのダメージが引っ張り、ハビブルから離れた後もハビブルに振り回され続けた。
今となってはこれも笑えるイイ思い出だが、その時は気が滅入り過ぎてバングラデシュを
楽しむことが出来なかった。だから、バングラデシュ放浪記はもうこれ以上書くことが無い。笑
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